ワンスアラウンドの『現場マガジン』  2022年11月23日号
皆様、いつもご覧いただきまして誠にありがとうございます。
ワンスアラウンドで、ビームス みなとみらいのショップマネージャーをしております武島幸宏です。
今週は現役店長の目線で、店舗の今、そしてこれからをレポートする「店長からの手紙」の第9弾をお届けいたします。
現場からのレポートが少しでも読者の皆様のお役に立つことが出来れば幸いです。


店長からの手紙 【vol.009】

信頼は聴く力が育む
前回のメルマガで「アイメッセージ」のお話をさせて頂きました。
想いを込めた言葉にこそ、人の心に響く力が宿る。自らの心を開いてスタッフと向き合うことを、 店長は大切にするべきだ。そんなことをお伝えしました。

では、スタッフに心を開いてもらう為には何が必要でしょう。
アイメッセージを届ける為には何が必要でしょう。そこには信頼が必要です。 信頼を築くには「伝える力」の対となる「聴く力」が必要です。 私は「聴く力」こそが、信頼の土台を築くものだと思っています。
「メンタルヘルスの研修」
先日、メンタルヘルスの講義を受ける機会がありました。
その中で、「部下のメンタルヘルス不調のサインが見られた時、大切なのは声をかけることと、聴くことである」 というお話がありました。
聴く時の注意ポイントとして、下記の5点があるそうです。
  1. 相手が言うことを頭から否定しない
  2. 相手の苦しみや辛さに対して気持ちや気分の問題としたり、
    他者との比較をしない
  3. 相手の言うことを先回りしたり、話を途中で遮ったりしない
  4. 無理な励ましをしない
  5. 無理に行動を促さない
こうした姿勢で聴くことが解消の第一歩となるというお話で、 改めて「聴く力」の大切さを学びました。

「何を言うかよりも、誰が言うか」
すぐに解決しなくても、聴いてくれたという事実がその人の心を開きます。 その積み重ねが信頼へと繋がります。人を動かすには、言葉に重みが必要です。 重みのある言葉を発するには、カリスマである必要はありません。重みは地位や名誉が決定することでもありません。
日頃からスタッフの話を聴き、信頼をしてもらえているかどうか。それだけが重要なのです。

「この人の言うことは腹に落ちるな」
あるいは「この人の言うことは本当にその通りだな」
そう思ってくれた時、スタッフの体は自然に動きます。

「この人」になれているでしょうか?
私は未だ自分がなれているとは思いません。ただ、「この人」でありたいと常々思っています。
ですので、スタッフの話を出来る限り聴くようにしています
そうさせてくれたのは、ある出来事がきっかけでした。それは他でもない、スタッフがくれたものでした。


「スタッフがくれた励まし」

「どうした?なんか悩んでんのか?」といつも気にして声を掛け、話を聴いていたIという 男性スタッフがいました。彼はとても前向きで積極性のある優秀なスタッフでしたが、 若さのせいもあったのか協調性に欠ける所があり、周囲のスタッフとぶつかることがよくあったからです。

彼と時間を取ると、私が発するのは「ふむ」「へえ〜」「なるほど」「確かに」「わかるよ」がほとんど。 多くの時間を彼に話させました。話がなかなか終わらず、終電を逃しそうになったこともありました。 それでも私はひと通り彼の話を聴いてから、自らの見解を伝え、時にアドバイスをするようにしていました。

そんなIでしたが、話す機会を重ねた効果もあってか、人間的にとても成長し、 周囲と協力して問題解決出来るようになり、数年もするとメンズフロアのリーダーとして 頼もしい存在になりました。

ある時、私が店舗運営である失敗をし、悩みを抱えていた時期に、彼がこんなメールをくれたのです。 前回に引き続き照れ臭い内容ですが、私用のスマホに大切に残してあるのでご紹介します。

『店長、お疲れ様です!残っている仕事があったにも関わらず、 またしても長くお時間を頂いてしまい申し訳ありませんでした。 でも店長が悩んでいるからこそ言います!店長の良いところ言います!笑
・ポジティブ
・誰とでも手を取り合おうとする
・沢山のヒントをくれる
・喝を入れてくれる
・ケアしてくれる
・悩みを打ち明けてくれる
・発信するきっかけを投げてくれる
・何よりみんなの話を聴いてくれる
だからついていきたいと思うんです!
こういった数々のことが、みんなの店長への想いや気持ちを作ってきた(僕自身作られてきた)と思うので、 何も店長だけが覚悟を背負い込むことでもないです。 店長がみんなを考えているからみんなも店長のことを考えています。 だからありのままを、気を遣わずに話してください。今度は僕たちが話を聴きます!』

育てているようで育てられている。教えているようで教わっている。
店長とスタッフは、親と子供の関係に近いかもしれないな。
そんな思いに駆られ、思わず涙ぐんでしまったことを覚えています。
この後、スタッフは私に力を貸してくれ、失敗は改善へと繋がり、取り返すことが出来ました。



<聴く>を積み重ねる

ポイントだったと今でも思うのは、Iを初めとするスタッフと私は、 「聴く」ことで信頼関係を築いてきたということです。

音や声が耳に入る「聞く」ではなく、理解しようと進んで耳を傾ける「聴く」ということを 大切にし続けていくと、コミュニケーションは深まっていきます。 その繰り返しが信頼関係を育くむのです。

「言葉の重み」を感じてもらえるリーダーは、信頼関係を部下と築くことが出来ているリーダーです。 そこに特効薬はありません。時間のかかることです。しかし「聴く」を積み重ねていくことは、 強いチームを作る最良で最短の道のりだと私は考えます。

最後までお読みくださりありがとうございました。
明日も売場と向き合いたいと思います。



これからも現場からのリアルなレポートをお届けします。
どうぞお楽しみに!

       ワンスアラウンド株式会社
       ビームス みなとみらい 店長

武島 幸宏

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