ワンスアラウンドの『現場マガジン』 2022年2月2日号

皆様、こんにちは。
ワンスアラウンドで新卒採用を担当している岡田聖子です。
今週は、『人を育てる』シリーズの第20弾。
この数年、新卒採用領域で耳に入ることが増えた「採用マーケティング」について、 どのような視点が必要とされているのか改めて整理し、採用人事に求められるものを考えてみたいと思います。

人を育てる法則 【vol.020】


採用に必要なマーケティング視点とは?
この1〜2年、新卒採用領域で「マーケティング」という言葉を耳にするようになりました。 その多くは採用領域でのデジタルツール導入の営業的な要素がまだまだ強いのですが、 私は企業の人事がその視点を持ち始めたことを好ましく感じています。
なぜなら、私はこのメルマガを書かせていただいているものの、実は採用経験はまだ6年。 前職では約15年間マーケティングに携わってきました(主にPR領域)。
初年度は良くわからないまま新卒採用に携わり、初年度で採用人数を倍にして気づいたことがあります。
「なんだ、採用はマーケティングだ。」
そして、有難いことにその後も安定した採用数を保てています。

他社の人事の方とお話しする機会があった際、「素敵な要素を多くお持ちの企業さんなのに、 企業PRに組み込まれていない。マーケティングスタッフに関わってもらったら より良い企業紹介が出来るのに・・・・。」と感じることがありました。
採用の場に「マーケティング」と言われても、人事専門の方であればあるほどピンとこないかもしれませんが、 商品販売の視点に置き換えて考えてみるとわかりやすいと思います。

採用をマーケティング視点で考える
商品のマーケティングでは「何を作って、いくらで、どこで、 どのようにお客様に提供するか」を戦略的に考えますが、 採用領域を4P(「プロダクト」「プライス」「プレイス」「プロモーション」)の マーケティングミックスのフレームで整理してみました。
また、コロナ禍でめまぐるしく変わる環境変化を踏まえて、 マーケティング手法の1つである「SWOT分析」などで、 自社の採用環境を客観的に整理してみるのも良いと思います。

さらに、ICT技術の発展とともに、学生と接触する方法にも新しいものが毎年出てきています。 こちらもマーケティング手法の変化として、商品販売に置き換えて考えるとわかりやすいと思います。
弊社が昨年から力を入れているのが、ダイレクト・マーケティングの手法です。 工程に時間を要しますが、学生の良い点を確認してからスカウトメールを送るので、 マス型よりも自社とのマッチ度が高く、ナビサイトで企業探しをするのに疲れた学生にとっては、 企業側からオファーが来るので、「受け身」な学生が混じってはいますが、 利用者数が増えるにつれ、学生の質にも幅が出てきたように感じます。
「あなたのココが良いと思ったからスカウトした」とコメントすることは、 “自分を褒めて欲しい”“認めて欲しい”いまどきの若者にぴったりな手法だと思います。 人的リソースが少なく、説明会や面接も一人ですべて運用するのは限界がありますが、 リソースが少ないからこそ、多くの学生を捌くやり方でなく、学生をスカウトするためのセグメントと、 一人一人丁寧にコミュニケーションを取ることに時間を割くことで、 結果的に採用工程が少なくなることを目指しています。

上記のアウトバウンドマーケティング手法以外に、学生を自社のコンテンツに惹きつける インバウンドマーケティング手法(検索エンジンやSNSで特定のキーワードを検索している学生向け)もあり、 “バズる”可能性がある企業には向いていると思います。

ロジカルなマーケティング思考とともにアナログの勘も大事

2013年から2020年まで続く超売り手市場からコロナ禍に突入し、 この2年の採用マーケット状況はめまぐるしく変化しています。
一時的に買い手市場になった業界もありましたが、流通業の22卒の大卒求人倍率は8.12まで回復していますし、 23卒ではナビサイト掲載企業数は前年比106%(1月同月比)、インターンシップ実施社数は同117%(同比)と それぞれに増加し、企業の採用意欲が高まり、 コロナ前の売り手市場に戻りつつあります。

募集、採用面接・内定者フォローだけでなく、自社を取り巻く環境変化と自社のポジショニング分析、 媒体の選択、自社紹介のコピーライティング、学生を惹きつける様々なイベント (面接も企業の魅力を感じてもらうイベントの位置付)、“顧客”(=内定者)との細やかなコミュニケーション、 入社後のアフターケアなど、採用人事の仕事は、 マルチで活動しなければいけないものになりました。

一方で、私自身がマーケティング担当者時代に大切にしていた「勘」も同じくらい大切になってきます。
学生のちょっとした言動や何気ない一言から人事担当者が感じる「第六感」や「直感」は 決して侮れない重要な要素です。

ロジカルな「マーケティング思考」にアナログの「勘」が加わってはじめて 「採用マーケティング」は最大の効果を発揮します。
採用を人事担当者に任せきりにせず、「採用はマーケティング」と捉え、 改めて企業の戦略として考えてみてはいかがでしょうか?

最後までお読みいただきありがとうございました。

来週は、「ショップレポート」をお届けします。
どうぞお楽しみに!

ワンスアラウンド株式会社
シニアディレクター

キャリアコンサルタント(国家資格)  岡田 聖子

《編集事務局より》
来週は年末休刊とさせて頂きますので、今回の「人を育てる法則」が2021年最終号となります。
1年間、ご愛読を頂きましてどうもありがとうございました。
年明け配信の新年号(1月5日配信)は、弊社代表鈴木が執筆いたしますのでどうぞお楽しみに!


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