ワンスアラウンドの『現場マガジン』  2021年5月19日号
皆様いつもお読みいただきましてありがとうございます。
ワンスアラウンドが毎週お届けしている『現場マガジン』は、 文字通り我々が運営する《現場》発のホットな情報をお届けするメールマガジンです。
今週は、『ショップレポート』第14弾。
今回はいつもと少し趣向を変えて、お客様対応の事例ををご紹介致します。

ショップレポート【vol.014】

他社事例を他山の石として学ぶ
〜コロナ禍のなか、ある老舗和菓子店で起きた     
信じられないお客様対応〜
皆様、こんにちは。
今回は緊急事態宣言による休業・時短営業が続く中で実際に起きた お客様対応の事例をご紹介致します。

弊社の代表がとある老舗和菓子店に買物に行った際に起きた事例です。
たまたま数日前に代表から全スタッフに向けて、コロナ禍のなか、わざわざご来店くださるお客様に対して 「お客様をハッピーにするサービス(接客)をしよう!」というメッセージが送られていた矢先のことで 他人事とは思えぬ事例だったので、今一度、自社の接客サービスを見直すよいきっかけとなりました。
皆様にも是非お読み頂き、コロナ禍のサービスはどうあるべきか?を、現場任せではなく、 現場に足を運んで確認して頂きたいと思い、今回このテーマを取り上げました。

「コロナ禍だからこそお客様に寄り添った対応が大事!」

弊社の代表が、都内でも有数の商業施設にある老舗和菓子店に、 お客様にお渡しするお菓子を買いに行ったときの出来事です。
緊急事態宣言下の為、18時に閉店することは分かっていたので、 打合せを早く済ませ、そのショッピングセンターに入ったのがジャスト18時でした。
お店は誰もが知っている老舗ブランドの和菓子屋さんです。
時間は18時を1分過ぎていましたが、既に店内のショーケースの半分以上に 商品幕が掛けられている状況でした。
そこで、以下のようなやり取りがありました。


「すみません。まだ大丈夫ですか?」
  「すみません。もう閉店でございますので」
「でも18時から1分過ぎただけですよ。施設の入り口は空いていたから急いで来たのに、 それはないんじゃないですか?」
  「すみません。でももう閉店したんです」
「わかりました。店長を呼んでください」
  「店長はいません。私が責任者です」
「しかし貴方たちは何ていう殿様商売をしているの?
コロナ禍の中、店に行くのは気がひけるけど、どうしても使う用事があったので、 仕事を終えて急いで駆けつけてきたんだよ!こんな対応をしていたら貴方の店のブランド名が泣くよ!
と言ったところ、スタッフは「申し訳ございません。大変失礼なことを致しました」 と言って接客をして下さったそうです。



翌日、この出来事を全店長に共有して
●この事例に対してどう感じたか?
●自店で起きないようにするにはどうしたら良いか?

を聞かせて欲しいという指示がでました。

以下は店長から寄せられた主な意見です。


・自店では絶対にあり得ない事だと思うが、 閉店間際のお客様に最高のサービスを行っているかというと自信がありません。
お客様には必ず何らかの事情や理由があるはずなので、 そこを配慮した対応が全員ができるようにスタッフと話し合っていきます。

・コロナ禍でご来店くださったお客様に対して配慮に欠ける接客だと感じました。 当日は店長不在でスタッフが対応したとの事ですが、 考えうるに店長も同じ対応をしていたのではないかなと思います。
最近、自店でも部下の行動に危うさを感じる場面がありました。 それを正せるのは店長しかいません。部下は鏡越しに写る自分(店長)の姿だと思って 自分自身の行動を改めていきます。

・対応したスタッフは、単に早く帰りたかったか、 とても真面目な方でマニュアルに忠実な対応をしたのかとも思います。 ルールを遵守すれば仕方がない対応ですが、 サービス業はお客様の状況に合わせて臨機応変な対応をしなければいけません。 そのことを新人スタッフや学生アルバイトまでマインドを浸透させるのは難しいことだと改めて思いました。 言い続けて、やり続けていくしかありません。

・コロナ禍になってから顧客窓口へのクレームが1.5倍に増えたと聞いています。 販売員も色々なストレスが態度に出てしまっているかも知れません。気を引き締めます。

・自分がお客様の立場なら、閉店前にレジ締めの音が聞こえたり、 商品幕を掛け始めるようなお店には二度といきません。 閉店間際のスタッフの応対はとても大事だと思います。

・時短営業が続き、もしかすると本社から残業禁止の指示が出ているのかもしれない。 しかし、営業時間が過ぎても買い物をしたいというお客様の状況を想像して対応しなければいけない。

こういった咄嗟のときにその店の本当の姿「存在意義」が問われると思う。 店スタッフには場当たり的な指導ではなく、自分たちの存在意義とは何か?を ケーススタディを使って理解してもらうようにしていきます。

休業を経験したせいで、売場でお客様と接客できる喜びを以前よりも強く感じています。 販売業として働けることに改めて感謝しているので、こういう応対は悲しくなります。



この店舗に限らず、昨年1回目の緊急事態宣言から長引くコロナ禍の中でお店の様子が大きく変化しています。

商業施設やテナント本部も含めて、「今、現場で起きている変化」をあらためて見つめ、お客様の生の声を知り、 肌で感じるべきではないでしょうか?

例えば、閉店間際のお惣菜コーナーにはほぼ商品が残っていませんし、 堂々と目の前で商品幕を掛けている光景もよく目にします。
廃棄処分を避けるために在庫を調整し、商品が無くなったら売るものが無いので仕方がないのかも知れませんが、 これがニューノーマルなのかと、悲しくなることが多々あります。

顧客窓口へのクレームがコロナ禍で1.5倍に増えているというデータもあるようですが、 お客様の利益よりも店の利益を優先していく傾向になり、 以前のようなお客様への気配り・心配りが減ってきているのかも知れません。

今回、この事例を店長に共有し、各自の感想を集めましたが、 どの店長もこの事例だけを考えると、「あり得ない」と答えています。
しかし、実際に自店で起きない事か?と言うと、自信が無いと9割の店長が危惧しています。
「コロナ禍だから仕方がない」「時短営業だから仕方がない」と言って、知らず知らずのうちに お客様への接客マインドが薄れていく怖さを感じているのだと思います。

こういった現場で起きている生の事例を、一つひとつ全スタッフと共有して、 「何のためにこの仕事をしているのか?」という存在意義の確認を定期的に仕掛けていくことが大事なんだということを、 今回改めて学ぶことが出来ました。

最後までお読みいただきありがとうございました。
次回も現場からの声や事例をご紹介してまいります。

ワンスアラウンド株式会社取締役
E&C推進室室長 佐藤梨枝子


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