ワンスアラウンドの『現場マガジン』 2020年12月16日号


いつもお読みいただきましてありがとうございます。
ワンスアラウンドが毎週お届けしている『現場マガジン』は、 文字通り我々が運営する《現場》発のホットな情報をお届けするメールマガジンです。
今週は、『マーケットレポート』の第6弾をお届けします。
コロナ禍でのマーケットの変化と、商業施設を中心とする現場の変化をタイムリーに捉えながら、 自らも現場を持つ弊社ならではの視点で、これからの時代へのヒントをお届けしたいと思います。

【Market Report vol.6】


 コロナ禍の2020年を振り返る
 ー 新たな変革にむけて ー

皆様、こんにちは。ワンスアラウンド顧問の馬場です。
前回は、年末年始商戦に視点を合わせた「Withコロナで求められる変化」についてレポートしました。
そして「いかに密を避けながら売上を確保するか?」という大命題に対して、 DEV各社は、これまで掲げて来た理念(ミッション)にもとづき、コロナ禍での様々な変化に対応しながら、 社会のインフラとしての役割を担い続けていきましょう!とお話ししてきました。
そこで今回は、2021年にむけて、誰もが想像もしなかった「コロナ禍の2020年」を改めて振り返ってみます。


年末恒例の新語・流行語大賞は?
年末恒例のユーキャン新語・流行語大賞2020年の候補として、新型コロナウイルスに関連する言葉、 「新しい生活様式/ニューノーマル」「おうち時間/ステイホーム」「ソーシャルディスタンス」 「テレワーク/ワーケーション」「3密(三つの密)」等の感染防止に関する言葉が、 多数ノミネートされましたが、大賞には「3密(三つの密)」が選ばれました。
このコロナ禍が小売業界のみならず、国内中に新たな変化(変革)を求める1年になった結果だと思います。

<一番気になった事は「人の動きが止まった」こと>
コロナ感染拡大以前は、日本経済もグローバル化を目指して動いていましたが、それを支えていた
国境を越えた移動が止まり、国内の移動も制限を受けて縮小し、
インターネットによる速くて安い通信は、その出番がより増えました。


移動が止まり、最も影響を受けた航空・鉄道業界

航空・鉄道業界各社は、大幅減収減益となり大きな損失計上が見込まれています。
(2021年3月期・収益見込み・各社HPより)


航空会社では、来年度以降の採用計画の大幅見直しに加えて、 在籍したままでの他社への出向=「在籍出向」(各社約500人)がスタートしています。
出向先は家電のノジマ、食品の成城石井、ホテル、KDDI等、多業種に亘っていますが、 他社で働き、異業種のビジネスの機微や組織運営、働き方を経験することは、 個人にとっても大きな財産になるのではないでしょうか?

鉄道関係各社は、駅という機能を活用しての「STATIONワーク」や 「ワーケーション」の支援、そして来春からは、終電の繰り上げやオフピークなど、 多様な通勤を支援する施策を発表しています。
また、インフラ活用では、JR東日本で新幹線と在来特急の車両を活用して、 生鮮三品中心にネット通販の「JRE」と連動させた「貨物定期便」をスタート
「速達性」と「定時性」をキーワードに、地方の産地と都内のお店や各家庭を繋いでいます。

<動きが止まり、仕事の仕方も変わりました>
テレワークが一気に加速し、コロナ後の導入率は、従業員30人以下で45%、 300人以上では90%と言われていますが、それにあわせて脱東京の動きも進んでいます。
住民基本台帳によると、東京都の転出超過人口は、5月から増加に転じ、10月までの累計では、 12,789人もの転出超過となっていますが、同時期の埼玉・千葉・神奈川の近隣3県は転入超過となっており、 緊急事態宣言後、都内からの住民移動が始まっているのです

また、オフィスの地方移転も進んでいます。
人材派遣会社のパソナは、2008年から人材誘致による地方創生にチャレンジしていた淡路島に、 1200人の従業員移転を一早く発表しました。
地方行政は、人口推進課が旗振り役となって、企業の移転誘致を進めており、一例としては、 長野県長野市(私の出身地ですが)が、転入企業に対して最大1100万円を支援する施策を発表し、 すでに3社が利用して移転済みということです。
交通の利便性は必要条件ですが、「安い」「空気がいい」「住みやすい」が キーワードの地方都市が人気となっているそうです

ECの台頭はもとより、デジタル対応が求められています

小売業界では、リアル店舗とECの共生を模索していましたが、コロナ禍で一気に背中を押された感があります。
DEV主導のECサイトは、「リアル店舗共生型」のECモールを目指していますが、具体策として、 現在はリアル店舗とECモールの相乗効果で売上の拡大が図れる オムニチャネル型のプラットホームづくりが求められています。

専門店のEC強化の事例

新本社ビルをさいたま新都心に建築中(2021年3月竣工予定)の「しまむら」は、 2019年及び2020年2月期の売上高が前年割れ、コロナ後の2020年度第1四半期(3-5月)は 前年77.8%と2ケタ減でしたが、第2四半期(6-8月)は同110.9%、第3四半期(9-11月)は 同114.6%と奇跡の回復基調となっています。
要因は、商品政策の見直しもありますが、店舗立地が郊外の路面店がメインの店舗展開なので、 コロナ禍では逆に密になりにくいというお客様の安心感があり、好調に推移している事。 加えて、10月開設の「しまむらオンラインショップ」が順調なスタートを切り、 配送より来店されての店頭受け取りの方が当初の目論見よりも多く、来店増にもつながっているようです。

SCのデジタル化推進事例

DEV各社と専門店企業は、オンラインを活用した新たな販売やサービスなどで、 更に進むお客様のニューライフスタイルと買い方の変化に対応するとともに、 販売を支援するデジタル化を加速させています

ルミネは、これまでの「IT推進室」を改編し、「デジタルトランスフォーメーション推進部」を6月に新設。
リアルとオンラインの「融合」をデジタル化の主軸に据えて、 店舗スタッフがルミネ・テナント双方のECサイトやSNSへ投稿した商品を、 自店の売上としてルミネカードで決済出来るシステムを導入しており、 販売スタッフのモチベーションアップとリアル店舗の底上げを目指しています。
パルコは、SC協会のビジネスフェアにおいても、いち早くデジタル化を提案していましたが、 ECとスマホアプリの機能充実を主軸にデジタル化を加速させています。 また、渋谷店や先日開業した心斎橋店では、激減したインバウンド需要の回復のため、 「越境ライブコマース」イベントを試験的に実施し始めています。
その他、小田急SCディベロップメントは「買い物代行アプリ」を導入。
相鉄ビルマネジメントも、新しい買い方に対応するための新たな取り組みにチャレンジしています。

<この1年間で見えてきた事>
■在宅勤務を労働力不足解消に繋げる
仕事時間と私的時間の境界線の引き方、オフィス勤務の良さであるチームワークや 同僚からの共感や刺激を得る方法などの工夫は必要ですが、働きやすいとの声も多く、 副業の容認を含めて女性や高齢者の活躍の場が広がれば、 労働人口の減少が見込まれる課題解消に貢献するのではないでしょうか?

■「EC」と「リアル店舗」の融合を目指して
従来は「二律背反」の考え方でしたが、今ではお互いが対立軸ではないということを知りました。
これからは、「SCに行く(リアル店舗に来てもらう)理由と価値」を創る事が重要です。
ネット(EC)と融合しながら、リアル店舗において「消費する価値」「サービスの価値」 「買う理由付け」をお客様に感じてもらうことで、お店のスタッフのモチベーションが上がり、現場は活性化するのです。

最後になりますが、
未曾有のコロナ禍を経験して、全てが変化(変革)することを求められている 転換点に立っている今、DEV・専門店各社が「大きなリセット」をすることを自ら判断し、 決断することが重要かつ不可欠なのだと思います。


7月に友人からルミネNEWoMan(ニウマン)新宿店に設置した水循環型のポータブル手洗い機 「WOSH」のことを教えてもらいました。
1階の入口に「ドラム缶を改良した白いスタンド」があり、石鹸をつけて手をかざすと、 水が流れて手を洗うことが出来ました。
手洗い後は、手全体が柔らかくソフトに包まれている感覚でした。
スタンドを良く見ると、ホースも無く水道管にも繋がれていません。
ドラム缶内にある水を塩素でろ過しながら循環させているのです。
これは、「安心・安全」を掲げて水と向き合ってきた前田社長が独自開発してきた技術です。
災害時にはシャワーとして使われていましたが、今回のコロナ禍を受けて 「手洗い」に視点をあわせ、大きな脚光を浴びています。
銀座や渋谷の商店街でも導入されており、銀座伊東屋の店頭で遭遇しました。 使用後は気持ち良く入店出来ました。
これはまさに「大きなリセット」の事例ではないでしょうか?

これからは「変化」が「常態」=(変わる事が普通)となります。
2021年はそれぞれが原点に立ち返り、Afterコロナ時代の 「新たな価値創造」と取り組まなければならないと思います。
状況変化の中で自ら変革出来るSC、専門店を目指しましょう!


最後までお読みいただきありがとうございました。
コロナ禍の第3波の拡大が全国に広がりを見せており、 不安な年末年始を迎えそうですが、新たな2021年をAfterコロナの出発点としましょう!

ワンスアラウンド株式会社
顧問 馬場 英喜


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