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ワンスアラウンドの『現場マガジン』 2020.08.26号

皆様いつもお読みいただきましてありがとうございます。
メールマガジン編集事務局です。ワンスアラウンドが毎週お届けしている『現場マガジン』は、 文字通り我々が運営する《現場》発のホットな情報をお届けするメールマガジンです。
今週は、『マーケットレポート』の第2弾をお届けします。
第1弾に続いて、コロナ禍でのマーケットの変化と、商業施設を中心とする現場の変化をタイムリーに捉えながら、 自らも現場を持つ弊社ならではの視点で、これからの時代へのヒントをお届けしたいと思います。

【Market Report vol.2】

皆様、こんにちは。ワンスアラウンド顧問の馬場です。

第1回目のマーケットレポートでは、
コロナ渦の自粛によって「人の移動が止まり」
■ステイホームで家族と過ごす大切さを知った消費者
■在宅でも効率的な仕事が出来ると知った経営者と従業員
■ネット購入で十分用が足せることを再認識した消費者 等

少し先だと考えていた小売業界の課題が、一気に顕在化したと、お伝えしました。


●現場(店頭)の働く環境は大きな変化が求められている

前述のとおり、「在宅でも効率的な仕事が出来ることが分かってきた」のですが、 今回は、全国3000を超えるSC、百貨店、スーパーはじめ小売業の現場(店頭)に 立って働いている人(全国で約770万人)の働き方について、考えてみたいと思います。

医療従事者の方々は勿論ですが、小売業の現場で働いている方々も、在宅では仕事が出来ない職種です。
現場では、「新しい生活様式」への対応が求められますが

■時間帯別来店客数(売上高)は夜の伸びが減少しています。
■現場(店頭)のスタッフは、その対応に試行錯誤しています。
■何よりも小売業界の「人材の質を上げる」ことが大命題です。

「withコロナ」で、お客様が望んでいる「新しい生活様式」を絵に描いた餅にせずに、 商業施設はどうあるべきかを考えてみたいと思います。

昨年10月、弊社では、全国の商業施設を運営している約50社に「働き方改革」についてのアンケートを実施しました。 24項目についての回答とコメントを頂き、結果を次のように分類しました。

<1>既に取り組んでおり、成果が出ている事
<2>取り組んでいない事
<3>現在取り組んでいないが、やった方が良いと思う事

■参考データ<商業施設の「働き方改革」アンケートより>

その中で、
<2>「取り組んでいない事」の第1位
  テレワーク(在宅勤務・サテライトオフィス等) 61%
   *「取り組んでいないがやった方が良い」との合算は84%
<3>「現在取り組んでいないが、やった方が良いと思う事」の第1位
  営業時間帯の見直し(短縮) 47%
   *「取り組んでいない」との合算は80%  でした。

昨秋は上記の回答でしたが、今回のコロナ禍を経験して「営業時間及び店休日」の見直しが顕在化しました。 時間軸が一気に短くなり、課題が目の前に突き付けられたのです。

アンケート結果詳細はこちらから


●そもそも、何故営業時間が長くなったのでしょうか?

国内の商業立地の変遷をみると、
現在の「街」は、江戸時代(城下町)の街割りが引き継がれています。 そこに移動交通手段の進歩が大きく貢献しました。明治になり欧米文化が入って、鉄道が敷かれ、 大正、昭和に入ってバスや車による人の移動により、 旧繁華街→駅ビル→バスセンター→ロードサイド→郊外型大型商業施設へと繋がって、次々と新たな立地の商業施設が生まれました。
営業時間が長くなったのは、1980年代のコンビニ業態の増加や消費者の生活スタイルの多様化に伴い、 「夜型人間」が増え、関東近県(高崎・水戸・宇都宮)では、幹線道路には飲食・書店などが出店し、深夜も営業する店が作られ、各地にも拡がりました。
そして1990年半ば以降、郊外型の大型商業施設の開設が加わりました。

2000年以降開設の大型商業施設は、営業時間を拡大し、休業日数を減少させて、施設運営にあたりましたが、これには
[1] 1974年施行の「大規模小売店舗法」(略称:大店法) と
[2] 2000年施行の「大規模小売店舗立地法」(略称:大店立地法)
の2つの法律が大きく関わっています。


具体的には
[1] 「大店法」では、「開店日」「店舗面積」「閉店時刻」「休業日数」の 4項目が地元との調整項目となっており、 「閉店時刻と休業日数」は「許可制」で縛られ、守られていたのです。
[2] 「大店立地法」では、まちづくり3法の一つとして、 大型店舗と地域社会の融和の促進に主眼がおかれ、 調整4項目が、「届出制」になりました。

これにより、大きな工場跡地への開発など、大型資本による出店攻勢が活発になりました。

すなわち、[1]大店法の下では、
■閉店時刻は、百貨店が18時、SCは20時から21時
■休業日数は、百貨店が40日、SCは10日から15日でしたが、[2]大店立地法の下では、 「営業時間がより長くなり」「休業日が減って」今日に至っています。


●これからの商業施設は、「人軸」での対応が求められます

商業施設を取り巻く環境は、ここに来て
1. 消費者は、人口動態からみても少子高齢化が進み、加えてインター ネットの普及により、夜型で店舗で購買する若者が減り、逆に朝型の 高齢者が増えています。
2. 商業施設の働き手は、働き方改革を求められ、慢性的な人手不足で 従業員が十分に確保できず、長時間労働への風当たりも強くなってきました。

そこに今回のコロナ禍によって、消費者の意識が変わったのです。それにも関わらず、旧態依然とした労働集約型に固執するのは如何なものでしょうか?

これらの変化を真摯に受け止めて、「人軸」でSCのこれからを考え、「新しい生活様式」を提案しましょう。

直近では、営業自粛要請期間に短縮した営業時間を元に戻す施設も出て来ましたが、 7月中旬以降の感染再拡大傾向を受けて、再び営業時間を短縮する施設も出て来ています。

例えば、まだ検討中で暫定対応ですが、
■東神開発・二子玉川「玉川高島屋SC」の閉店時刻は、50年前の開業時から21時でしたが、 20時閉店に繰り上がっており、「柏ステーションモール」も同様に20時閉店になっています。
■ルミネも閉店時刻を8月から再び20時閉店に繰り上げています。
■百貨店では、東武百貨店が、フロア単位ですが、池袋店・船橋店で、1時間から1時間30分の短縮を9月から実施します。

前述のように、今までは法による規制や規制緩和によって生まれた「営業時間や店休日」の変化を、 お客様は当たり前に受け止めてSCを利用して来ました。
しかし、コロナ禍によってお客様は、今までの環境にはない「新しいライフスタイルやビジネススタイル」を体験してしまいました。
社会的なインフラとして確固たる地位を築いてきたSCの使命は、この「新しい生活様式」をバックアップする 「人軸を考えた営業スタイル」を真剣に考えることではないでしょうか?

小売業界で働く従業員の質の向上のためにも、

営業時間の短縮
開店時刻及び閉店時刻の見直し判断
休日の増大
出店者内及び館内テナント間のコミュニケーションが取れる
元旦は休む
一年の計は元旦にあり。メリハリをつける。

といった項目にぜひとも踏み込んで欲しいと思います。


最後までお読みいただきありがとうございました。

次回は、今回のコロナ禍で顕在化した
「ネット購入で十分用が足せることを再認識した消費者」 にとってEC時代のSCとはどうあるべきなのかをテーマに取材を重ねながら問題提起と提案をしていきたいと思います。

ワンスアラウンド株式会社
顧問 馬場 英喜


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